評価・レビュー
☆4/5
グレイテスト・ショー・ネバー・メイド ~ウソに翻弄された30人の若者~は、2002年に起きたリアリティショー事件を20年の時を経て、当時の映像や当事者たちが語るAmazonオリジナルのドキュメンタリー作品。
新聞広告などに掲載された年間10万ポンドを貰えるというリアリティショー番組に応募したら、それはテレビ番組ではなく、自作ビデオを撮っていたニキータ・ロシアンによるオリジナルのリアリティショー番組だったという話。
10万ポンドは今の日本円換算で1800万円ほど。当時はもう少し価値が高かったかもしれませんが、少なくとも年間で1000万以上貰えるというわけです。
また、当時はリアリティショー番組が出始めた時で、イギリスでは大人気。誰もがリアリティショー番組に出て、人生を変えたいと思っていたという背景があります。
撮影場所はロンドンで、もちろんロンドンに住んでいる人もいましたが、多くは地方からリアリティショー番組のために上京。
1年間の契約だったのと、貰えるお金も大きかったため、住んでいる家の契約を切ってロンドンへ来た人も多かったようです。
そのため、テレビ番組ではなかったことで、人生が大きく狂ってしまったというわけ。
当時の様子をビデオカメラで撮っていた
本ドキュメンタリーが面白いのは、当時の状況をビデオカメラで撮っていた点。
たまたま参加者の1人が、ビデオカメラを購入しカメラマンになりたいと思っていて、様々な状況をビデオカメラで撮影していました。
そのため当時の臨場感がかなり伝わってきます。
リアリティショーで人生が変わる!と思ってウキウキでロンドンへ来たものの、何だか様子が変だぞみたいな感じになっていく姿は、ある意味本当のリアリティショーだなと。
本人登場
本ドキュメンタリーは3話構成です。で、一番驚いたのは、リアリティショーの仕掛け人であるニキータ・ロシアンが登場した点。
この手のやつって大体本人は出てこないですよね。
でも、しっかり良い父親になった本人が登場し、当時の話をしてくれます。
騙すつもりは無かったが、計画が甘くてうまくいかなったと。多くの人を傷つけてしまったことを後悔していると話しています。
救いがある
個人的に一番良かったのは、本ドキュメンタリーに救いがあった点。
例えば1人は、この事件の後に俳優として応募して実際に俳優業になっていたり、会社で働くことを辞めてオリーブ園を始めたりと、それまでの自分の人生を大きく変える決断ができたと語っています。
こういうドキュメンタリーの見せ方は結構新鮮でした。
大体、悪い事件の場合って、未だに捕まっていないとか、未だに傷が残ったままだみたいな感じで終わることが多いので。
もちろん、参加した全員がこの事件をプラスにできたかどうかはわかりません。
でも、何でも無かった自分の人生が自分の決断で大きく変えられるというメッセージは、とても良いなと感じました。