ショーペンハウアーの幸福について (光文社古典新訳文庫)を読んで、個人的にぐっときた言葉のメモです。
目次
世界の捉え方で人生は変わる
ひとりひとりが生きる世界は、
何よりもまず、その人が世界をどう把握しているかに左右され、
それゆえ、頭脳の相違に応じたものとなる。
頭脳次第で、世界は貧弱で味気なくつまらぬものにもなれば、
豊かで興味深く意義深いものにもなる。
「客観的に現実にいかなる事態なのか」ではなく、
「私たちにとって、いかなる事態なのか、私たちが事態をどう把握したのか」が、
私たちを幸福にしたり不幸にしたりするのである。
心根の明るさ、快活という特性は何物にも代えがたい
最も直接的に私たちを幸福にしてくれるのは、
心根が明るいことである。
なにしろ、この良き特性は瞬時に効く。
快活な人には、いつも快活でいられる理由があって、
それはとりもなおさず本人が快活なためである。
他のいかなる財宝も、この特性にとって代わることはできず、
この特性自体、いかなる特性にも代えがたい。
幸福の源泉は外部に頼らない
ふつうの人は、人生の楽しみに関して、自己の外部に頼る。
財産や位階、妻子や友人や社交などに頼る。
彼の人生の幸福はこうしたものに支えられている。
だから彼がそれらを失ったり、それらに幻滅したりすると、幸福は崩れ去る。
人生の価値は他者ではなく自分で決める
他人の目にどう映るかで、生き方の価値の有無が決まるとしたら、みじめだろう。
英雄や天才の生涯の価値が、名声、すなわち他人の喝采で決まるとしたら、やはりみじめだろう。
およそ生あるものは、自分自身のために、何よりもまず自分のために独自の生の営みを生存するほうがよい。
過去でも未来でも無く今を生きる
現在だけが真実であり現実なのだ。
現在だけがリアルな充実した時であり、
私たちの現実生活はもっぱら現在のなかで行われる。
だからいつも朗らかに現在を受け入れるべきだ。
現在というものがいかに重要かがすぐに分かることは、
めったにない。
ずっと後になってはじめて分かる。
孤独を愛する
だれもが完全に「自分自身である」ことが許されるのは、
独りでいるときだけだ。
自由でいられるのは独りでいるときだけなのだから。
およそ孤独を愛さない人は、
自由をも愛さない人なのだろう。
何かを作ることが幸せを生む
人間の能力は用いられることを求めてやまず、
人はそうした成果をなんとか見たいと願う。
しかしながら、この点で最大の満足が得られるのは、
何かを「作る」こと、仕上げることだ。
籠でもいい、本でもいい。
ひとつの作品が自分の手で日々、成長し、ついに完成したのを見ると、
直接的な幸せが味わえる。
騙されてもそれを自らの財とする
だまし取られたお金ほど、有益に使ったお金はない。
それと引き換えに、とりもなおさず知恵を手に入れたことになるからである。
他にもたくさん示唆に富む言葉があり、個人的に面白く読めました。