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情報の価値の二極化が加速
Bard、ChatGPT、Bing AIなどを日々使っていて感じるのは、AIの出力は玉虫色的な感じで、結構ありきたりな、王道の回答が多いということです。その結果、情報の価値がこれまで大きく変化すると思います。
具体的には、
- AIで入手しやすい情報の価値が低下
- AIで入手しにくい情報の価値が上昇
し、情報の価値の二極化が加速するということです。
以前、時代はリアルと仮想の二極化することを述べましたが、情報という世界においても、二極化がさらに顕著になるでしょう。
ここからは個人的な予測について書いていきます。
情報鮮度はいずれAIに追いつかれる
現在のAIは、学習データが1〜2年前のものであり、最新情報に弱いという欠点があります。つまり情報の鮮度が悪いということです。
しかし、現在の検索データから新しい情報をもとにした情報を提供してくれるAIもすぐにできてしまうでしょう。精度こそまだまだですが、数年後にはニュースが出たばかりの情報について回答してくれるAIが登場することは間違いありません。
そうなってくると、新しい情報というのはこれまで以上に鮮度が落ちるのが早いと言えます。
ニュースはAIの独壇場になる
また、ニュースの作成についてはAIが非常に向いています。というのも、報道などのニュースは事実を伝えるのが基本。ですので、入力した情報に変な手を加えずに出力してくれるAIは、とても向いていると言えます。
例えば、火事、場所、被害者の数などを入力したら、ニュース記事をサクッと書いてくれるわけです。で、さらに言えば、過去の火事の情報なども付け加えることも可能でしょう。人間が書くよりも圧倒的に早いです。
また、最近の日本のマスコミは情報操作をするのが当たり前になってきていますが、AIを通すとそれがやりにくくなるというメリットがあります。
なぜならAIが出力したデータをいじれば、確実に人間の意図が入ったことがわかるからです。これまでのマスコミについてはミスでしたで済む話が、AIを通せば履歴も残るため、改変しにくくなるというわけ。
誰もがかける情報サイトやブログは消える
正確にはこれからAIによって作成された文書で作られたサイトやブログは乱立するのですが、最終的にそれらに情報の差異が無いため、死屍累々になることは間違いなく、結果として消えていってしまうということです。
また、検索ではなくAIに質問するが主流になっていく可能性が高いです。そうなるとAIの回答と同じサイトをたくさん作ったとしても、そのサイトへ人が流れてくることは無くなるでしょう。
AIの登場で戦々恐々としているのは、アフィリエイト業界。大量のブログを作ることで稼いでいたのですが、これまで以上に新規参入がしやすくなり、さらにAIを使いこなす人には到底勝てなくなってしまうので、これまで以上にレッドオーシャンになることは明白です。
AIの弱点は強烈なオリジナリティ
AIの弱点は強烈なオリジナリティです。AIはあくまで学習したデータからの出力しかできません。
例えば、w(草)などがわかりやすいですね。日本では笑えるという意味で使われていますが、これをAIに生み出せというのは難しいという話。
すでに存在しているものであれば、そこから派生させることは簡単ですが、0から1を生み出すのは当面難しいです。
というのも、AI自身に考えるというか、判断させることを現在、AIのサービス提供者が制限しているため。
文章はちょっとわかりにくいですが、絵柄は非常にわかりやすいですね。オリジナリティ溢れる独特の絵柄の方は今後も生き残ることができるでしょう。
しかし、一般受けしやすい、特徴の無い絵柄についてはAIが取って代わり、オリジナリティの無いデザイナー、絵師というのは、数が大きく減ると思います。
強烈なオリジナリティというのは普通の人には難しいため、多くの人がAIに飲み込まれていくだろうなと。
人間は編集・校正などの作業がメインに
今後、多くの人が担うのは、AIが出力した情報を編集・校正するのがメインになっていくと思います。AIが登場して無くなる職業などが以前から騒がれていますが、一番最初に影響を受けるのは、クリエイターと言われる職業だと思っています。
よく事務処理などの単純作業をする人の職業が奪われると言われていましたが、実際に事務処理をするとわかりますが、国や地域によって手続きが変わりますし、自動化したとしてもチェックする必要はあり、そもそも事務処理ってチェックすることがメインなので、それほど違いはでないというのが個人的な推測です。
また自動化によって作業量は減るのが間違い無いですが、それってITによっても起きていたことなので、急激な変化というのは無いでしょう。
事務員などの作業者が必要な別の理由
チェックするのを事務職員以外がやれば良いという話がありますが、実際問題事務処理は結構知識が必要なのですぐに引き渡しが難しいです。さらに言えば、事務員がいなくなれば、事務処理で発生した問題は事務員のせいにできなくなるので、ミスが発生した際の処罰対象がいなくなってしまいます。
会社によってはミスが発生したとき決済をした人ではなく作業をした人に責任をなすりつけて収めていたのに、作業をする人がいなければ、正社員が処罰を受けることになるわけです。それを嫌う組織もあるだろうなと。
個人的には非常に良くない商習慣だと思いますが、現実問題としてはよくあるケースかなと。なので、言葉は悪いですが首切り要員としての作業者は減らしにくいだろうと思います。
職人が改めてフォーカスされる
日本では素晴らしい職人たちによって、多くのものが生み出されてきました。しかし、資本主義の大量生産によって、職人たちの数はどんどん減っていき、様々なものが均一化されていきました。
結果として日本は世界での競争力を失いつつあります。結局、均一化によって恩恵を得られるのは、国力、というか人口だからです。
AIの登場によって、その均一化はさらに加速していくことは間違いありません。
しかし、前述したように情報の価値が二極化することで、職人の技術というのは唯一無二の情報になる可能性が高くなってきました。これまで以上に職人の重要性が増しているということです。
なぜならば、AIによってこれまで以上に誰でも作れるものが増えたことで、普通の商品や情報では差がつかなくなるため。
正直いえば、日本の職人と呼ばれる人たちの技術については、日本政府が積極的に保護した方が良いと思っています。まあ、難しいでしょうが。
AIの突拍子もない出力を笑うのでは無く活かす
AI時代に突入したら、普通の人は生き抜くのが大変です。ただ、普通の人だからこそ、AIを活かすことも可能だと思っています。
その鍵はAIの突拍子もない出力です。
以前、SHISHAMOとバンドの「明日へ」という曲が物議を醸しました。
個人的に音楽のことは素人なのでざっくりした内容の理解としては、非常に珍しい転調で、音楽のプロからすると違和感があるというもの。
しかし、「明日へ」はヒットし、Youtubeでは再生数が6000万回を越えています。これが結果です。プロの音楽家には絶対に生み出せない曲と言えます。
何が言いたかったかと言うと、結局人間がこれまで常識というか、こうあるべきだという考え方は、時代や状況によって変化するという話。
そしてAIは現在未熟で変な出力を出しますが、逆にそれは人間が当たり前に思っていて、考えもつかない出力、つまり新しい考え方やアイデアである可能性があるということです。
実際に自分がやったAIの出力を例にすると、お尻ペガサスがあります。
ペガサスといえば、馬に羽が生えている空想上の生物です。誰しもが羽の位置を体の中心あたりにイメージしているでしょう。
しかし、AIはそんな常識をサクッとぶち破ってきます。お尻に羽を生やすなんて、ほんとうに考えつきません。
こういう突拍子もない出力を単純に笑って終えることもできますが、これをもとに例えば、お尻+首の当たりに羽を生やすことで、人が乗りやすくなったペガサスを生み出すこともできるでしょう。
そのような発想の転換ができるかどうかが、AI時代に生き抜くヒントなのかなと思っています。