評価・レビュー
☆4/5
父親が謎の飛行物体が原因で亡くなった後、牧場を受け継いだ息子のOJは牧場に戻ってきた妹と一緒に、謎の飛行物体を撮影しようとするが・・・みたいな話。
一体何が起きているのかについては、実際に観た方が楽しめると思うので、細かい点は言及しませんが、この手のSF的な作品としてはなかなか面白かったです。
最初に父親が亡くなるシーンも予想外の展開でしたし、チンパンジーによるテレビ事故のエピソードもなかなか怖いシーンだったし、謎の飛行物体の正体についても個人的には楽しめました。
エンタメ作品として普通に良作。その視点では万人に進められるSFホラー映画だと思います。
ただ、若干気になる点があって、ちょっと調べたら、やっぱりという感じでした。
ちょっとネタバレありの感想
以下はちょっとネタバレありの感想です。
黒人差別や格差社会の風刺を描くのが得意な監督作品
エンタメ作品としても面白いのですが、ちょっと不自然というか、気になるシーンがいくつかあり調べてみたら、本作のメガホンを取っているジョーダン・ピール監督は黒人差別や格差社会の風刺を描く作品が得意な監督だそうです。過去作は代表作はゲット・アウト、アスなどがあります。
黒人にフォーカス
確かに言われてみると、ちょっと黒人にフォーカスしている感じはあったなと。また、黒人以外の登場人物について、特にアジア人については結構印象が悪く書かれていて、結果としてもバッドになっているので、そういうことなんだろうなと感じてしまいました。主人公がOJという名前なのも、当然ほぼほぼO・J・シンプソンに由来していると思います。
黒人以外は・・・
チンパンジーという動物についても、まあそういうニュアンスなんだろうと。このあたりは自分が日本人というかアジアの住民でもあるので、手放しで評価はしにくい印象。監督がアジアの人たちをそうみているというのは理解できました。
日本人にはわかりにくい感覚
で、このあたりって結構日本で生活しているとわかりにくいというか、知識として知ってはいるけれど、感覚としてはわかっていないことが多くて、伝わりにくい部分だろうなあと思いました。また、それほどの怒りというか、黒人以外への拒絶というか、大きな溝があることを感じさせる作品です。
未来への希望があっても良いのかなと
実際のところ、すべての黒人の方が同じように考えているかどうかはわかりませんが、若干黒人至上主義的なニュアンスというか、排他的な考え方もあって、個人的にはもう少し未来への明るさというか希望も描いてほしいなと思ったりしました。
過去の恨み辛みというのはわかりますが、そこに拘りすぎると、永遠に関係は改善しません。時代が移り変わっていくことで人々の考え方や価値観というのは変わっていくわけで、ずっと同じ場所で足踏みし続けても、何も生まれないのかなというのが個人的な考えです。
水に流せとは言いません。ただ、未来を見ることも大事なんじゃないかなって話。