評価・レビュー
☆5/5
いわゆるアンガーマネジメントの本。
主に
- 怒るデメリット
- 怒りをパワーに変える
がメインの話です。
4コママンガが付いていて、全体的に非常にわかりやすいのが特徴。様々な怒るシチュエーションを例に、怒るデメリットや対処法が紹介されています。
また、人間ですからイラッとすることはありますし、怒ることはあります。神様じゃないので。本書でもイラッとすることはあると著者の方も書いています。で、それをうまくパワーに変えようというわけ。何にせよ程度の問題ではるのかなと。
個人的には非常にわかるなあという点が多く、多くの方に読んで欲しいとは思いました。
瞬間湯沸かし器のような人は理解できない
ただ、すぐ怒る人は本書をきっと読まないし、読んでも意味がわからないんだろうなあというのが個人的感想。何が言いたいかと言うと、怒りの本質については書かれていないためです。
あくまで怒りの対処法という感じ。で、これは普通の人だったら理解できる内容ということ。
瞬間湯沸かし器のようにすぐ怒る人にとっては、そもそも一呼吸置くという概念というか、脳の回路が存在していないと個人的に思っているので、いくら読んでもわからないんだと思っています。
というか、過去に何人かすぐ怒り爆発する方に会いましたが、皆さんアンガーマネジメントの勉強してるんですよね。驚くことに。でも、コントロールできていないんです。
アンガーマネジメントの本や情報はたくさんありますし、知識として持っている人が増えていると思います。
ただ、知識として知っていることと、それを使いこなせるかは別という話。また、情報として持っていても理解できているかどうかは別という話でもあります。
極端な例ですが、最新の物理学では本気でパラレルワールドの存在が真面目に議論がされていて、マルチバースといった言葉で多くの方が情報を知っています。しかし、なぜパラレルワールドが理論上成立するのか?を理解している人って少ないのと一緒。で、ちゃんと理解していないと、昔のSFみたいな話が正しいと思ってしまい、トンチンカンな話がでてくるわけです。そこには大きな隔たりがあります。
アンガーマネジメントも同様で、そもそも論としてなぜ人は怒るのかについて解明しないかぎり、根本的な解決は難しいのかなと。
薬によって怒りを抑えることができるのはわかっているわけで、結局のところ脳の問題が一番の要因かなと個人的には思っています。脳の構造を変えない限り瞬間湯沸かし器のように怒る人の怒りを抑えることは難しいという話。
で、それは本を一冊読んだくらいでは変えようが無いというのが個人的考えです。
本書を読んでも怒りを抑えられないなら病院へ
ただ、それは瞬間湯沸かし器のような極端な人の場合であって、普通の人はある程度自分で怒りをコントロールできるわけで、そういう方にはかなりおすすめの本だと思います。
ちょっとした考え方、立ち振舞いで状況は大きく変わるので。
逆に言えば、本書を読んでも怒りを抑えきれないときは心療内科など専門の医師に相談した方が良いでしょう。
そのレベルで非常によく書かれた本だと思います。