マンガ なれの果ての僕ら 意欲的なデスゲーム系

投稿者: | 2022年6月4日

評価

☆5/5

いわゆるデスゲーム系。設定や意外な首謀者、オチは出尽くしてる感のあるジャンルなので、デスゲーム系の作品というのは人間模様を楽しむ作品なのかなと個人的には思っています。命をかけたゲームのネタも、囚人のジレンマとか定番になりつつありますからね。そういう意味では本作は王道的なポジションの作品なのかなと。しっかり8巻で完結しているのも良い点。

デスゲーム系が好きならアリ。またデスゲーム系をあまり知らないのであれば、新鮮に楽しめると思います。

内海八重先生の作品で2020〜2021年連載。

話としては

同窓会のために集まった四ノ塚小学校元6年2組の27人は、卒業生・夢崎みきおによって監禁されてしまう。彼の手によって「極限状態での善性を試す」ことを目的とした実験が行われ、後に12人が死亡することとなる52時間の監禁劇が幕を開けた。

なれの果ての僕ら – Wikipedia

テーマは善性

いわゆる善い行いは、極限状態、つまり自らの命がかかっている状態でも発揮できるのか的なところが本作の表のテーマかなと。

で、個人的に本作が意欲的だと感じたのは、小学校の同窓会という設定でデスゲームのテーマが小学校時代の話や人間関係を主体としている点です。小学生の頃のいじめが原因で復讐みたいな話はありますが、それをデスゲームとして形にしたのは意外と初めてなんじゃないかなとか。

思い出というか表面上は仲の良く楽しいクラスということになっていたけれど、その実、いろいろとドロドロしたものがあってそが裏のテーマでもあるのかなと。

これは小学生だからといって善い存在ではなく、意思があり、心に闇も抱えているということの裏返しでもあるかもしれません。

エグさやグロさはあるが読みやすい

どうしてもデスゲーム系なので、エグさやグロさというのは出てきてしまいます。ですので、その手の作品がダメな方は読めないかなあと。

そもそも最初の段階で多くの人が亡くなる事件であると書いてあるので、間違って読む人はいないとは思いますが。

ただ、絵柄は綺麗でごちゃごちゃしてないですし、とても読みやすいと思いました。キャラクターも書き分けられていて、それぞれのキャラクターも立っていたと思います。

荒唐無稽だから面白い

当たり前のことですが、小説やマンガなどフィクション作品は荒唐無稽なもの。ですので、この手の作品に限らず、フィクション作品に荒唐無稽とか、リアリティが無いというのは、ナンセンスかなと。というか、そもそも論として現実にあり得ない話だからこそ、小説やマンガなどのフィクションは面白いんじゃないかなと思っています。

本作でも個人的にツッコミどころはいくつか感じましたが、ぶっちゃけ些末なことかなと。

そもそも舞台設定のアイデアが素晴らしいと思いますし、話の展開、テンポもかなり良くてサクサク読めました。

大傑作ではないですが、個人的にはかなりの良作マンガだと思います。


余談:バトル・ロワイアルの話

この手のデスゲーム系の話に出会うたびに思い出すのが、バトル・ロワイアルという作品。

バトル・ロワイアルの小説がリリースされた時、自分は即買いしてかなり面白いと感じたので、友人に薦めました。しかし、多くの人から酷評。

「こんな残酷な話を読むなんて信じられない。」

「人としてどうかと思う。」

などなど、いろいろと言われました。

しかし、その後バトル・ロワイアルが映画化されて大ヒット。そしたら、あれだけ酷評していた人たちが面白い!って手のひらを返したのを今でも思い出します。

今でこそデスゲーム系って1つのジャンルとして成立したので、若い方たちは当たり前のように感じるかもしれませんが、新しいジャンルって最初は理解されないんですよね。

また、個人的に小説やマンガなどのフィクション作品と実際の犯罪は別物だと思っています。よくマンガやゲームの影響で犯罪が〜〜と言われたりすることがありますが、個人的には逆だと思っていて、そもそも犯罪をするような資質があったから事件が起きたのではということです。

だって、バトル・ロワイアルだって国会で騒がれるほどの社会現象になりましたが、今のところ日本でバトル・ロワイアルが実際に行われたという話は聞きませんからね。

でも、そもそも犯罪をするような資質を持った人が金や権力を持ったら、バトル・ロワイアルを実現するかもしれません。そんなバカな話と思われるかもしれませんが、現在進行系で誰も正しいとは思っていない戦争が起きていることも事実ですから。

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