40代ニート。いつものように家でぐうたらしていたら、大好きだったあの人が家に来た。
最後に会ってから10年ぐらい経っている。
歳をとっていて、少しおばさん風になっていたけど、やっぱり綺麗だったし、良い歳の取り方をしていた。
僕は彼女に大好きだったことを伝えたし、彼女もそれをわかっていて会ってくれていた。
ただ、あるきっかけで会うことはなくなってしまい、少し経ってから、彼女が結婚をしたことを知ることになる。子どももいるそうだ。
そんな彼女が自分の家に来た。これはきっと夢なのだろう。
あの時の好きだった気持ちが蘇ってきて、どうしようもなくなって、僕は号泣して彼女とずっと一緒にいたいと改めて思った。
たわいもない話をしながらも、彼女に思いを再び伝える。ずっと一緒にいたいと。
そこに母が入ってきた。
邪魔するなよと言ったけれど、母は彼女に時間が無いことを告げる。
そう彼女は本物ではなく、ホログラムだったのだ。
本当の彼女は今、病院で寝ていて、もう寿命が残り少ないそうだ。
そして彼女から紙を渡される。紙には今の彼女の状態と、短い言葉が添えられていた。
大好きだった人へ。
そしてお別れの時間が訪れる。
消えていく彼女。追いすがる僕。
そこで僕は現実に引き戻される。そうだった、寿命が来ていたのは自分だった。
薄れていく意識の中で、VRの世界で彼女に最後に会えたことを改めて幸せに感じた。