評価
☆4/5
1990年代に人気を博した荒巻義雄先生の同名小説のアニメ化。なんだかんだと全話観てしまいました。
話としては、
昭和18年4月18日に戦死した山本五十六。しかし、38年前にタイムスリップし名前も高野五十六となって転生してしまう。そして同じように転生した仲間とともに、秘匿潜水艦部隊 紺碧の艦隊とともに再び第二次世界大戦へ挑む。
という感じ。
当時、歴史IFもしも系として他にも様々な作品が登場しましたが、その火付け役となった作品の1つと言えるでしょう。その昔、古本屋に行けば鬼のように紺碧の艦隊の小説が並んでいたので、その人気をうかがい知ることができます。
アニメ作品としては小説同様に1990代に作成されたので、少し古めかしいですね。
若い人が観たらうーんと思うことも多いかと思いますが、ある程度年齢がいっている方であれば、懐かしさもありかなり楽しめると思います。
アニメとしては全32話の超大作。
ご都合主義と言われるが・・・
本作はしばしばご都合主義作品の例として挙げられることが多いです。というのも、様々な難局を新たな兵器で乗り切るというパターンが多く、基本的にその繰り返しだからです。
ただ、個人的にはちょっとご都合主義とは違うかなと思っています。改めて書こうかなと思っていますが、そもそも論としてご都合主義とは、
「御都合主義」という表現は、物語の展開に関して用いる場合は、それまでの設定や伏線を無視し、強引な後付設定やでき過ぎた偶然などを用いることで、製作者側に都合よくストーリーを進行させる技法を指す。
御都合主義 – Wikipedia
と書かれています。
本作では転生という設定で38年前に戻っています。また、1人ではなく複数の人間が関わっており、さらに軍隊のトップにいる人も転生しているわけです。作品ではサラッと38年が流されていますが、実際には相当な準備をしていたと言えるでしょう。
現代で30年と言うと、もはや時代が違います。今から38年前を考えてみるとバブルの頃でしょうか。もはやその時の技術は石器時代と思えるほどで、考え方も全然違っていました。30年というのはそれほど大きな年数です。
その上、記憶もある転生なので終戦時の技術を知った上で38年を過ごすわけです。つまり、終戦から38年後の技術と考えればある程度は許容できる範囲かなと思います。それでもぶっ飛んだ新兵器が出てくるので、批判があるのも頷けなくはありませんが・・・。
また、ご都合主義については考え方で変わってくるでしょう。例えば、主人公成長系の作品を観てみると、良い感じに主人公がギリギリ達成できるような難題が毎回登場し、それを主人公が乗り越え強くなっていくわけです。絶望的な戦力差と表現されていても大体何とかなるスペシャルな方法が残されています。真の意味で絶望的な状況というのは存在しません。というか、そんな状況だったら、そもそもエンタメ作品にはならないですよね。
例えば、近年で爆発的に人気が出た鬼滅の刃。ラスボス的な鬼舞辻無惨が最初から主人公 炭治郎を倒しに来れば話としては終わりです。不安要素は早々に排除するというのは、論理的に考えれば当たり前のこと。しかし、鬼舞辻無惨は直接手を下すのを後回しにします。これはご都合主義以外の何物でもありません。様々な理由が述べられたとしても、戦略的に見ればあまりにも滑稽です。
自分が鬼舞辻無惨だったら、弱いところから排除し、数的優位を作っていくでしょう。これは基本中の基本です。小学生でも思いつく内容。しかし、そんなことをしてしまったら話が進みません。当たり前ですけど。
まあ、何が言いたいかというと、ご都合主義だからダメということは無いということです。マンガにしてもアニメにしても、ドラマにしても映画にしても、捉え方によってご都合主義になってしまいます。人間が考えることですから。
また、xxというのはありえないだろうという批判もありますが、そもそも多くの作品はフィクションです。フィクションというのは「この作品はありえないことです」と宣言しているわけです。そいうい意味でxxというのはあり得ないという批判もちょっと違うのかなと。
個人的には見ていてワクワクするかどうか、面白いと感じるかどうかが、作品の純粋な評価対象ではないかなと思っています。
そういう意味では本作は難局をどんな新兵器で打ち破るのか?という観点で見ると面白い作品になるかなと。
また本作で言えば第二次世界大戦で日本やドイツ(ヒトラー)がもし勝っていたらどんな世界地図になったのか?という観点でも見ています。まあ、物量不足が目に見えていますが、そのあたりはご愛嬌かなと。