目次
評価
☆4/5
ビジネスにおける雑談のテクニックについて書かれた書籍。
個人的に当たり前のことが結構書かれていて、それのまとめのような感じ。ただ、実際にその当たり前のことにたどり着くには、自分の経験として失敗もたくさんしましたし、身につけるのに時間もかかりました。そう考えると、こういう本に早くに出会っていれば失敗も少なく、身につける時間も短くて済んだろうなと思います。
そういう意味でコミュニケーションが苦手という方にはおすすめの1冊。ただ、後述しますが、あくまで本書は入門であって自分なりのコミュニケーション能力を高める必要がある点に注意。特に売れている本や基本的なハウツー本は、相手も読んでいることが多く「テンプレ野郎」と思われる可能性があるからです。できれば本書でその点についても触れて欲しかったので☆-1にしました。
個人的に本書で色々と考えた内容を3つ挙げるとするならば、
- なるほどですね、そうですね、は「話を聞いていない人」の反応
- 「何か特別なことをされているんですか?」というフレーズ
- 本人がいないところでも必ず敬語
かなと。
ほどですね、そうですね、は「話を聞いていない人」の反応
自分が社会人になって2社目の会社で、社長が良く使っていたセリフが「なるほど、なるほど」でした。確かに話を聞いていないし、興味も無いんだろうなあというのがビシビシ伝わって来ましたが、本人は気づいていないようです。
自分がその会社に入ってからは、様々な事情があってそれまで社長がしていた仕事の一部を引き継ぐことになりました。最初は右も左もわからず、自分も真似をしていたのですが、あんまり相手の反応が良くないなと思って、いろいろと自分なりに変えていきました。
本書では相槌について、「さしすせそ」がおすすめと書かれています。
- さ:さすがですね
- し:知らなかったです
- す:素敵ですね
- せ:センスがいいですね
- そ:それはすごいですね
ビジネスシーンではよく言われている内容です。
しかしながら、これも個人的にはあまり良くないかなと思っています。というのも、相手もそのような情報を持っている可能性が高いからです。つまり、相槌の「さしすせそ」を知っているにとってこれらの相槌は「あーこいつはテンプレ野郎だな」と思われるわけです。
ですので、注意してくださいませ。最初の指針としては良いかなと思います。
個人的話の聞き方:相手や話題に興味を持つ
個人的に相槌というか、相手と話をするときには、相手が話す話題に興味を持つことを最優先にしています。どんなに興味が無い話であってもです。興味が無い話にどうやって興味を持てば良いのか?という疑問があると思いますが、個人的には将来何かの役に立つかもしれないと思って聞いています。それをちょっとイメージというか、考えるだけで全然相手の話への興味が変わってきます。
例えば化粧品の話。自分は男性で化粧はしませんし興味はほとんどありませんが、そこで聞いた知識が彼女や家族の役に立つかもしれない、そういう情報を喜ぶかもしれないというスタンスで聞くわけです。実際に質問するときも自分が〜というよりは、彼女が〜〜という感じで聞くと相手も合点してくれます。
「何か特別なことをされているんですか?」というフレーズ
これは良いフレーズだなあと思いました。その人個人に興味がありますよというサインになりますし、間接的に褒める言葉でもあるからです。
毎回同じフレーズを使っていると、前述したように「テンプレ野郎」だなと思われてしまうので、言葉のバリエーションをいくつか持っていると良いなと思いました。
同じフレーズではないですが、自分も同じようなフレーズで相手から言葉を引き出すようにしていました。個人的には掘るという言葉を使っていましたが、より深い話に持っていくためのきっかけの1つになはなるかなと思います。
本人がいないところでも必ず敬語
これも良く言われることなのですね。普段から敬語で話していないと、とっさの時に敬語がでなくなってしまうためです。あるあるですが、普段クライアントを略称で呼んでいると、クライアントの前でも略称で出てしまう気まずい雰囲気になったというのは多くの方が経験、またはそういうシーンを見たことがあるのではないでしょうか。
そんなことは絶対無いという方もいますが、人間の脳というのは自分自身ですべて制御できるわけではありません。名前を呼ぶ時に間違って違う人の名前を呼んでしまうというのに似ています。あるあるだと「お母さん」というフレーズもありますね。これは脳がバグっている状態で、相手を「お母さん」と思って呼んでいるわけではありません。
大切なのは誰の脳でもバグることがあるということ。そしてそれがたまたま重要な会議や商談で出てしまうことがあるかもしれないということです。
余談
たまたまTwitterを見ていたらこんなツイートが流れてきていた。
「ためしてガッテン」で面白い実験が。「出番があるまでこの部屋でお待ちください」と、数人の男性ばかり入れられた部屋、女性ばかり入れられた部屋。その中で何が起きるのかを観察。
— shinshinohara (@ShinShinohara) February 3, 2022
男性ばかりの部屋では沈黙が続き「遅いですね」「そうですね」と二言がやり取りされたのみで、沈黙が続いた。
とても面白い内容だったので載せておきます。
雑談について、男性の場合、ビジネスだと喋る人がいますが、実際にはビジネス以外の場でも雑談って使えるんですよね。
また、上記ツイートでマウンティングは嫌われるというのがありますが、実際にその通りだと思います。自慢話は面白くないですが、会社などではそれが普通に行われているので染み付いてしまっているのかもしれないなと思います。
自分がいた会社の社長は、「俺を尊敬しろ!」と強制していました。強制で心から尊敬されるようなことは無いと自分は考えていますが、世の中には強制することで尊敬されると思っている人がいるということです。
また、上記ツイートの続きでは相槌の「さしすせそ」も出てきます。自慢をする上司をヨイショする方法として。結局大切なのは「テンプレ野郎」にならないことであって、本書を実践したら雑談力がつくわけではないということです。
私的メモ
「自慢話はしない」「軽い失敗談を話す」:目的は心理的安全性の確保
オノマトペ(擬声語):音や感情の様子などを表す擬声語:雨が「ザーッ」と降っていて・・・
オチのある雑談:面白いオチがあるというわけではなく、本書では目的を持って雑談するということ。
天気から入り話題の切り替え:実はこれが一番難しい。そこをもう少し深堀りして欲しかった。
日経産業新聞がおすすめ:時代は変わっていくので参考程度。他にもプレジデント、日経ビジネス、カンブリア宮殿、ガイアの夜明け、ためしてガッテンなどが挙げられていた。自分の場合はこれらはほとんど観ず、海外の情報メインにWebを漁っていた。一番多いときで毎日400サイトぐらいチェックしていたが、iGoogleが無くなってチェックが難しくなってしまった。
質問:雑談を広げるために最重要だが、質問攻めには注意。
「なぜですか?」は愚問:時と場合による
知ったかぶりは「テキトー」な印象:これマジ。自分は若い時、知ったかぶりの王様でした。マジでクソ野郎だったので、知ったかぶりは止めましょう。
能動的な質問:自分の解釈や意見を加えて質問。これも時と場合による。ただ、何度も訓練するしかその機微はわからない気がします。
教えてもらったことの実践:嫌らしくない程度に。
高価なものではなく500円の手土産:本書では実家に帰った時に買った地元の土産を紹介。ただ、官公庁系は手土産を受け取れないので使えない場合もある。
声が低いはNG:これも時と場合による。所謂クロージングをする時には低い声の人の方が信頼感が高まり、商談が成立しやすい。手法として昔から使われるのはオープナーとして女性を使い、クロージングを男性がするという方法。
世の中には雑談すべきではない人もいる:これもその通りで会議が長くなるのを嫌がる人もいる。自分もそうです。
キーマンは肩書きで決まらない:これも正にその通り。偉い人は確かに決裁権限がありますが、部下が任されているケースもあります。つまり上司は付添的な感じの時です。これを見誤ると商談がうまくいきません。キーマンのことをフォックスということもあります。
ポイントは3つあります:「1つ!xx、2つ!xx、3つ!特にありません。」を思い出しました。こういう本で出てくると、プロレスラーの外道選手が素晴らしいことがわかりますね。
結婚式などフォーマルな場で挨拶の練習:自分も友人の結婚式で挨拶をする機会があり、オリジナルの縁にまつわる話をしたところ、挨拶後に新婦のお父さんから「もう1人娘がいるんだけどどうか?」と言われました。懐かしい思い出です。また、ほとんど関係無い人の寿退社を祝う会で締めの挨拶をやれという上司から無茶振りがありましたが、オリジナルの3つの袋で難を乗り切りました。クソ滑る袋を2つ言ってから最後の締めでドカーンと持っていくという方法です。どちらもうまく行きましたが、そういう機会があったことは自分の成長に繋がっているなと思います。そういう意味でフォーマルな場で話すチャンスがあったら積極的にやったほうが良いと感じています。