評価・レビュー
☆5/5
本書は人間の性格や行動を、
- マインドセット
- フォーカス
- 自信
の3つ軸から、8つのタイプ
- 中二病(Teenager)
- うざいやつ(Showoff)
- 臆病者(Neurotic)
- 退屈な人(Stick in the mud)
- やる気の空回り(Eager Beaver)
- まじめな見習い(Alert Apprentice)
- 新星(Star Who’s (almost)Born)
- 熟練の匠(The Expert in the Making)
に分け、それぞれについてやる気をアップするための方法を紹介しています。
かなり大雑把な分け方ながら、自分に近いタイプが必ずあるかなと。
また、本書を手に取るということは、やる気が上がらないと感じている人なので、その診断結果は、破滅的と出ることが多いでしょう。
そこが本書の面白さでもあります。
全体的に軽快なトーンながら、グッサリと核心を突く内容が多く、個人的には非常に楽しめました。
また、本書のタイプを自分自身だけでなく、周囲の人に当てはめてみると、友人や同僚として付き合うべき人というのが見えてくるかなと。
それが本書で個人的に一番学びになった点です。
分量も多くないので、サラッと読めるので、かなりおすすめの一冊。
以下は本書を引用しながら、個人的に考えたことなどのメモ。
証明か成長か
・証明マインドセットを持つ人は「すごい人と思われたい」。
・成長マインドセットを持つ人は「すごい人になりたい」。
成長マインドセットの持ち主は他人の目をあまり気にしません。他人が自分をたとえ認めてくれなくても、やると思ったことをやります。
これまで様々な人と出会い、話をしてきましたが、このマインドセットは、その人物の性格をかなり表している気がしました。
ぶっちゃけて言うと、証明マインドセットを持っている人とは、あまり付き合わない方が良いかなと言うのが個人的な感覚。
もちろん、人間ですから、調子に乗ってしまうこともあります。自分もちょいちょいあるので(笑)
ただ、常に証明マインドセットの人って結構いて、そういう人といると疲れちゃうんですよね。自分の場合。
あと、昔働いていた職場の社長は、まさに証明マインドセットを前面に押し出したような人で、俺を尊敬しろと部下に強制していました。
それが反面教師的になっているのかはわかりませんが、個人的には基本的に成長マインドセットです。
まあ、メンタルの影響もあって波はありますけど。
獲得か回避か
獲得フォーカスの人は称賛を得ることに動機づけられますが、回避フォーカスの人は批判を避けることに動機づけられます。 また前者は見切りをつけるのが早すぎるのに対して、後者はいつまでも続けている傾向があります。
これについては、結構バランスが重要なのかなと思いました。
どちらかに偏るのが良くないのかなと。
ただ、中途半端も良い結果に繋がらない気がしています。
その時々で、獲得フォーカスを重視するか、回避フォーカスを重視するかをうまくコントロールしていくのが大切な気がします。
自分はどちらかというと、獲得フォーカスが強めな気がしていますが、人間関係については回避フォーカスが強めな感じです。
自己効力感とは
自己効力感とは、望む結果を得るために必要とされる能力が自分にはあるという確信です。 目標を達成するために必要な力を自分が持っていると信じているとき、あなたは自己効力感を持っていると言うことができるのです。
自己効力感とは、カナダの心理学者 アルバート・バンデューラ氏が提唱した言葉です。
単純に俺様最強伝説的な自信ではなく、根底にあるやり遂げる力を信じる力という感じ。
この自己効力感がある人が、自信のある人とのこと。
自己効力感は、成功体験、他者の体験から学ぶ、他者からの保証や警告、その時々の私たちの気分から成り立っているそうです。
人の力を借りる
ときには人の力を借りることも必要です。そのことがあなたの無能の証明にはなりません。
むしろ人に助けを求められないことがダメなのです。
どんな人も自分一人ですべてをこなすことはできないのですから。
これは個人的にも最近、強く感じていることです。
一人の力では限界があるのもそうですが、一人の視点というのが一番危険というか、自分を見失いがちになってしまうかなと。
自分の場合は、友人が少ないのもあって、なかなか友人に相談というのが難しかったので、親に相談したりしました。
親に悩み事を聞いてもらうなんて、人生で初めてのことでしたが、いろいろと視点がクリアになったので、効果はあったなあと。
また、最近ではChatGPTに悩みを聞いてもらうのが良いという話を聞いたので、ChatGPTにも聞いてもらいました。
大切なのは、自分だけの世界に閉じこもらないことかなと。
失敗しても大丈夫だと考える
人間は失敗しても大丈夫だと思うと、実際に失敗を犯す確率はとても低くなるのです。
これは自分自身のこととしてもそうですが、部下を持ったときにも感じたことです。
初めて上司になったときに、ぶっちゃけすべてをコントロールしようとして、クソみたいな上司でした。
ただ、あることをきっかけに部下への接し方を変えたところ劇的に部署の空気が良くなり、成果が目に見えてでたのです。
その時に、失敗しても良いやと自分自身で思ったこと、そして部下に責任は全部自分が取ると明言したのが良かったのかなと。
実際に、部下の行動でミスが発生した時に、自分に責任があると言って、部下を責めることはしませんでした。
それによって、部下がさらに伸び伸びと仕事をしてくれるようになった気がします。
というのも、部下から様々な提案が出てくるようになったのです。
例えば、部下から飲み会をした方が良いという提案。昨今では、飲み会自体が否定的で、上司が飲み会に誘うのもパワハラ的な感じに捉えられてしまうことも多いかなと。
けれど、部下からの提案であれば、パワハラにはなりません。
また、部下が自分の仕事を取っていくようになりました。それまでは自分も実務を結構やっていたのですが、部下がそれは上司のする仕事じゃないと、実務を自ら巻き取るようになったのです。
部下に仕事を押し付けるのではなく、部下が自ら仕事を取りに来るという、上司になった当初ではまったく考えられない状態でした。
様々な理由はあるにしても、少なくとも部下が失敗を気にせずに仕事ができる環境というのは、やはり大きいのかなと思います。
行動を褒める
褒めるのは、その人がコントロールできるものにすべきです。能力ではなく、やり方や工夫、粘り強さ、ポジティブな態度を認めていくのです。
人ではなく、行動を褒めることです。そうすれば今後、苦難にぶつかっても、以前はどうやって切り抜けたのか、どんな行動が自分を助けてくれたのかを思い出して対応できるようになります。
これは結構大切な気がしました。
ついつい自分もその人の能力を褒めてしまうことが多いのですが、能力を褒めるということは逆に失敗したときには、その人の能力の問題と捉えられてしまうなあと。
行動を褒めれば、失敗したとしても、次は行動を変えれば良いだけですし、本人もコントロールしやすいです。
これは自分自身を褒める場合にもそうかもしれませんね。
という感じで、かなり学びの多い一冊でした。プッと吹き出してしまうような内容も多くて、楽しくてためになる一冊だと思います。
リンク
- やる気が上がる8つのスイッチ プレミアムカバー コロンビア大学モチベーション心理学 プレミアムカバー Kindle版 ハイディ・グラント・ハルバーソン (著), 林田レジリ浩文 (翻訳)
- アルバート・バンデューラ – Wikipedia