たぶん結構珍しいとは思うのですが、人生で2度 顔面神経麻痺になったことがあります。1度目は大学院生になった時、2度目は数年前です。
顔面神経麻痺はウイルスが関係していることがほとんどなのですが、2回ともウイルスはほとんど検出されませんでした。いろいろと検査した結果、2回とも原因不明という結論に。ただ、顔面神経麻痺になったときは、どちらもめちゃくちゃ忙しかった時だったんですよね。
1度目の顔面神経麻痺
大学院生になったばかりの頃でバイトと学校を行き来し、家に帰って布団で寝ることがあまりなく、ゼミ室や教室の机で突っ伏して寝るという生活を数ヶ月送っていました。
何故そのような生活になったかと言うと、奨学金を父に使い込まれてしまったためです。銀行の残高を見たら奨学金が入金されておらず、父に確認したところ事業のためにもう使ってしまったと言われました。
今でこそ会社やビジネスの難しさというのはわかるのである程度は理解できますが、当時はまったく理解できず、呆然となり頭が真っ白になったことを今でも覚えています。
落ち込んでいても仕方ないので今後のことについて考え始めました。いろいろと計算した結果、今ある貯金と深夜バイトを多めに入れば、ギリギリ遅れで学費が払えそうだということがわかりました。そこからバイト先と学校を行き来する生活がはじまります。
で、ある夕方のこと。
バイトに行こうと歯を磨いて口を洗ごうと頬を膨らましたらピューッと水が口から出てきました。最初何が起きたのかよくわからず、口を指で塞いで口を洗ぎました。バイト中も右目から涙が止まらず、何かが起きていることは確かでした。
そして、深夜休憩の時に弁当を食べようとご飯を口に持っていったら顔にご飯が当たるのです。寝ぼけているのかなと思い、思いっきり口を開いて食べようとしたのですが、また顔に当たります。で、鏡を見たら、顔の右半分が動いていませんでした・・・。
次の日病院に行ったところ顔面神経麻痺であることが判明。2週間程度で動かなかったら、一生麻痺したままになることもあると言われ、絶望的な気持ちになりました。
最終的には動くようになりましたが、顔が勝手にピクピク動くという後遺症が残ってしまい、さらに家で絶対安静ということで学費の目処も立たず、最終的に大学院も辞めることになります。
また、角膜に傷がついてしまい、いわゆる飛蚊症のような症状も残ってしまいました。
2度目の顔面神経麻痺
2度目は数年前。ベンチャーで死ぬほど働いていた時のことです。土日も年末年始もずっと働いていましたが、まあなんとか健康診断も引っかかることもなく過ごせていました。
そもそもベンチャーで働こうと思ったのは、1度目の顔面神経麻痺の影響。三流大学とは言え、大学院で頑張れば一部上場企業に入れるゼミでしたが、顔面神経麻痺でそれらのプランが崩壊します。結果、ただのプータローになってしまったわけです。
そんな人材を雇ってくれる会社は、基本小さな会社でブラックなことが多いです。どうせブラックならベンチャーで一発逆転を狙おうとしたわけです。
このベンチャーがどのぐらいキツかったというと、一部上場企業の優秀な人材がキツくて辞めてしまうほど。ベンチャーは少数精鋭で会社を回すので、あらゆる業務をやらないといけません。特化型人材で働けるのはエンジニアのみです。
優秀な人材が辞めたことで、結局それらの仕事は自分がやることになります。と言っても、自分は門外漢。ゼロからスタートです。もちろん能力も高くないのでかなり苦労しました。
また世の中そんな甘くはなく、ベンチャーなんてほとんど失敗するわけで自分がいたベンチャーも経営が厳しくなりました。
そんな状況の時に2度目の顔面神経麻痺に。前回は右側で今回は左側。過去に一度経験済みということもあって、2回目はかなり落ち着いて対応できました。会社に連絡して、病院に行って検査して、前回同様ウイルスはほとんど検出されず。
医師からは「何か心当たりがありますか?」と言われ「はい」と(笑)
また2回も顔面神経麻痺になる方は少ないとのことで、念の為脳のMRIの検査を受けました。結果的には特に問題無し。
個人的に1回目治療で顔面がピクピク動いてしまう後遺症が残ったことが気がかりでした。この後遺症は電流を顔に流して強引に顔を動かすという治療が原因です。しかし、現在ではその治療法は良くないことがわかっており、薬などで様子を見ながら、顔面マッサージをするのが基本になっているそうです。
ということで、2回目は特に後遺症もなく治療完了しました。また1回目で角膜に傷がついてしまったので、今回は特に目の保護に気を使い、目の方も問題ありませんでした。まあ、2回目ですからね。
1回目の時も2回目の時も、結果として顔面神経麻痺は治ったので、それは不幸中の幸いだったのかなと思います。調べて見ると2割ぐらいの方は不全麻痺などの後遺症が残ってしまうそうなので。
顔面神経麻痺になったら目を守ろう
顔面神経麻痺で角膜に傷がついてしまったのは麻痺で目が閉じられないためです。
人間の目はゴミなどが入らないように定期的に瞬きをします。また物が近づいてくるととっさに目を閉じますよね。しかし、麻痺していると目が閉じられないので、そのまま目にダイレクトアタックされてしまうわけです。
医師の話では顔面神経麻痺が原因で失明してしまう事例もあるそうです。ですので、顔面神経麻痺になったら目には注意してください。
原因はストレスか体調か
顔面神経麻痺になった2回とも明確な原因は不明でした。
ただどちらの時も非常に忙しく、高ストレス下にあったことは間違いありません。自分的には気づいていませんでしたが、体調的にも良くなったのだろうと思います。
免疫能力が低下すると顔面神経麻痺になることがあるそうなので、知らず知らず体調が悪くなり免疫力が低下していたことが原因なのかもしれません。
ですので、皆さんは無理して働きすぎないようにご注意ください。
相談できる人がいたら
1回目の顔面神経麻痺の時は相談できる人がおらず、全てを自分1人で解決すべきだと思っていました。
それによってかなりの悪循環に陥っていたと思います。相談できる人がいたら、状況も変わっていただろうなと。
今はSNSがあり、声をあげやすい時代になりました。また、アドバイスをいただけることも多いですよね。ときには専門家の方がリプライをくれることもあります。
ダメ元でも情報を発信してみるというのは大切かなと思います。
変なプライドは盲目さを生む
自分の場合、1回目の顔面神経麻痺から這い上がってやる!と意気込んでいましたが、それは正しくなかったなあと。
というのも、改めて考えてみると根っこにあったのは自分自身のプライドだからです。這い上がって「バカにした奴らを見下してやる!」「俺の方が上だ!」という思いが強かったと思います。
今でもプライドをうまくコントロールできないこともありますが、少なくとも昔に比べると自分以外の人への尊敬や感謝の気持ちがかなりあります。それは自分を卑下することではないことに、ようやく気づいたというか、遅すぎますけど(笑)
そのせいで様々なことが見えなくなっていましたし、厳しい仕事環境に麻痺していたというのもあります。相談できる人はいましたが、改めて振り返ってみると良いアドバイスを貰っていたのに、自分自身の考えに固執し、盲目的な感じにはなっていましたね。
そんなわけで皆さんもプライドにはご注意ください。プライドが無いことも良くないと思いますが、変なプライドによって自分自身が見えなくなっていることがありますので。
まあ、そういう時は馬耳東風なわけですが、運良く誰かの心に響いたら嬉しいかなと思っています。